はじけるピンクの恋心
お風呂から上がると夏だというのに長い間お湯につかっていたせいで、のぼせてしまった。


頭がポカポカして、体はフラフラ。神崎の事もあり体に力が入らなかった。



「紗奈、のぼせちゃったの?!顔が真っ赤じゃない!麦茶でも飲みなさい?」


バスタオルを首にかけ真っ赤な顔をしてリビングへとやって来たあたしにお母さんが麦茶を出してくれた。



「ありがと。ちょっとお風呂に入りすぎちゃった。」


ゴクゴクと麦茶を飲み干して、あたしは自分の部屋へと入った。


やっぱり自分の部屋が一番落ち着ける。



ドライヤーで髪を乾かしていると携帯が明るいメロディを鳴らせた。


メールだ。
しかも、白木から。


ほんの少しの期待と、わずかな不安を胸に携帯を開く。

期待と言うのはデートの誘いで、不安と言うのはやっぱり神崎とのキスの事。


もしかしたら見られてたかも、なんて今だに思ってしまう。

でも見られていたら声をかけるはずだよね?
それに見られてたら白木があんなに平然としてる訳がないよね。と自問自答をしていざメールボックスへ。



[31日の夜、暇?暇だったら親が町内の福引きで当てた花火でもしようと思うんだけど。]


良かった、期待していた内容のメールだ!そう喜ぶと同時に不安は綺麗サッパリ消えていった。


31日は夏休み最後の日。
そんな日に白木と2人でなんて嬉しい事だ。



浮かれ気分のあたしは素早く返事を返す。


[もちろん暇だよ!花火楽しみっ。予定とかはまたメール下さい。]


その返事はすぐに来た。


[わかった。なら8時に公園に集合。8時っつても夜だから。]


最後の文章に小さく笑いながらあたしは携帯を閉じた。


白木って意外に可愛い所があるんだな。花火って言ったら誰でも夜だって事ぐらいわかるよ。



だけど今思えばこの時、白木の決意は決まっていたのかもしれない―
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