はじけるピンクの恋心
ガラッと勢いよく開けた教室のドア。
・・・なぜか注目されるあたしと神崎。



『おっ!拓也と山村、二人で登校かよー。お前等デキてんのかよ!』


クラスのお調子者の男子がそう言うと教室が一気にざわめき始めた。


「違うってば!ただ会ったから一緒に来ただけ。」


いくら神崎とは仲良くても一緒に登校なんてした事がなかったから、おもしろがっているんだろう。

一生懸命、男子に反抗するあたしを見て神崎も「馬鹿。そんなんじゃねーっつの!」と言い返してくれた。


それを聞いた男子は「はぁ?マジかよ。お似合いだぞ、お前等!」とまだ懲りていないご様子。
そんな男子を無視してあたしと神崎は席に向かった。


席は夏休み前と同じ席だ。
白木が隣で、その後ろには梓ちゃんと神崎。


視線を席に移すと白木と梓ちゃんが楽しげに話していた。
たぶん梓ちゃんは、さっきの男子が言った事を気にしているだろう。
なんせ神崎に恋をしているのだから。


「梓ちゃん、白木!おはよう。」


いつも通り普通に。
ちゃんと笑えて言えたよね、あたし。


「紗奈ちゃん、おはよう・・・。」


梓ちゃんは返事を返してくれたけど、白木は俯きあたしの事なんてまるで見えていない様だった。


だけど、めげない。
・・・友達なんだから。


「し、白木!おはよう。」


だけど何秒たっても白木の声は聞こえない。
ここまで来るとさすがのあたしも泣けてきた。
だけど涙をグッと堪える。


「蓮!お前、山村の事シカトかよ。何もシカトしなくてもいいだろ?」
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