はじけるピンクの恋心
神崎が強い口調で白木に言った。


「拓也には関係ない。」


そんな白木の言葉に怒りを抑えられなくなった神崎は白木の頬をグーで殴る。とは言ってもメガネをかけている白木だから軽くだったけど。


「関係あんだよ。蓮、お前どーして山村の事振ったんだよ。」


「・・・見たからだよ。」


「何が?何を見たんだよ、蓮。」


「拓也と山村が、キスしてるとこ見たからだよ。」


それを聞いた神崎の顔が青ざめていく。
そして梓ちゃんも動揺を隠せない様子だ。


「梓ちゃん!これは、えっと・・・。違うの!」


あたしは誤解を解こうと必死だった。
だけど梓ちゃんはすぐにニッコリと笑顔を向けてあたしにこう言った。


「紗奈ちゃん、良いんだよ。さっきね、紗奈ちゃんが神崎くんから告白された事もキスされた事も白木くんと別れた事も白木くんから聞いたんだ。」


「え、白木が・・・?」


白木の方を向くと白木は何か言いたげに俯いているままだった。


「なぁ、蓮。俺が悪いんだって言うならちゃんと責任は取る。だけどな、シカトはやめろよ。」


神崎が言い終えた後、担任の先生が教室に入って来て話はそこで終わった。

4人が固まっている席にはなんとも言えない空気が漂っている。
できるものなら、過去に戻りたい。


4人で笑っていたあの日に。
どうしてこんな事になっちゃったんだろう。

今は隣にいる白木がとても遠く感じる。
後ろにいる梓ちゃんだって絶対辛いに決まっている。

好きな人と友達がキスした事を知って梓ちゃんはどうしてあんなにもニッコリと笑えたのだろう。あたしには不思議でしょうがなかった。
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