はじけるピンクの恋心
「うん!あたしも神崎くん、頑張るよ。あっ、でも・・・。1つだけ怒ってる事があるよ?」


さっきは怒ってなんかいないと発言していた梓ちゃん。
もしかして梓ちゃん本当はあたしの事なんか大嫌いなんじゃ・・・。絶対、心の中で怒ってるよ梓ちゃん。

焦りと不安から、あたしは冷や汗が出ていた。


「梓ちゃん、ごめんね!もう神崎とは絶対何もしないから!」


勢い良く言った言葉に梓ちゃんは一瞬驚いた表情を見せると、すぐ笑顔になりこう言った。


「違うよ。あたしが怒ってるのは紗奈ちゃんが相談してくれなかった事!白木くんと別れた事だって言ってくれなかったでしょう?」


あたしは呆気にとられてしまった。
てっきり神崎の事なんじゃないかと思っていたあたしの考えとは全く違う事。



「やっぱり、あたしと紗奈ちゃんは親友なんだから相談とかしてくれなかったら悲しいよ。これからは何でも言ってね?あたしも言うから。」


黙り込んでいるあたしを余所に梓ちゃんは言葉を続ける。
やっぱり梓ちゃんとあたしは比べ物にならない。


神崎、あたしなんかより梓ちゃんの方が“良い女”だよ。



「梓ちゃん、ごめんね。今度から、ちゃんと言うから!ありがとう。」



笑顔を見せると梓ちゃんは大きく笑顔で頷いた。


友情にヒビが入るとか、もう前の様に普通に話せないとか、そんなの関係ない。
友達なら、親友なら、きっと分かり合えるはず。


たったこれだけの事で、あたしと梓ちゃんの絆が崩れるはずがない。
そんな簡単な事をあたしは忘れていたのかもしれない。


あたしより梓ちゃんは何百倍も大人で、何百倍も強い人。
そして誰よりもあたしの事を想ってくれている。



「梓ちゃん!あたし絶対、梓ちゃんを幸せにするから!」


「え?紗奈ちゃん、男の子じゃないんだから。それより紗奈ちゃんが幸せになってね。」


そんな梓ちゃんには絶対に幸せになってもらいたいんだ。
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