はじけるピンクの恋心

・理由があればそれだけで

「ねぇ、紗奈ちゃん!昨日、白木くんと何かあったの?」


「え・・・?」


朝1番、教室に入るとあたしに向けられた質問はあたしにとって嫌な話題だった。
昨日といえば白木の言葉があたしの頭を駆け巡るのだから。



「あのね、あたしが帰ってたら後ろから白木くんが走って来たの。白木くんはあたしの事、気づいてなかったみたいだったから声かけたの。そしたら白木くん・・・泣いてたから。」


白木が泣いていた?
白木が涙を流していた?


驚く事しかできないあたしに梓ちゃんは眉毛をハの字にさせている。



「どうして・・・どうして白木、泣いてたの?」


「その事なんだけど・・・。」

 

梓ちゃんは言いにくそうに顔を困らせた。


梓ちゃんは何を知っているの?
白木から何か聞いたの?

聞きたいけど聞けない質問に嫌気がさした。



「おーい、山村!ちょっとちょっと!」


ちょっぴりシリアスなムードを持ち前の明るさでブチ破ったのは神崎だ。本人は悪気なんてないつもりだろうけど、なんともタイミングが良すぎる。


「ごめん、梓ちゃん。神崎が呼んでるから行くね。」


そう言い残し席に座っている神崎の元へ向かった。



「山村、見て見て!これマジでおもれーから!」


「え、何それー?」


神崎があたしに見せてくれたのは、何やら明るい雑誌だった。


「ほら、ここ!ここのスイーツ美味しいんだってさ!」


「へぇー。本当だ、美味しそう。」
< 60 / 73 >

この作品をシェア

pagetop