はじけるピンクの恋心
「梓ちゃん、ごめんね。」


「ううん。だから、全然気にしてないから神崎くんと美味しいもの食べてきなよ。あっ、あたしも食べてみたいからお土産よろしくね?」



最後に優しく微笑む梓ちゃんは本当に天使の様で心が温かくなる。
こんなに強くて優しい友達を作れた事は本当に幸せかもしれない。


「うん!じゃあ、梓ちゃん。神崎が校門で待ってるから行くね!本当にありがとう!」


笑顔で梓ちゃんに手を振ってあたしは校門で待っている神崎の元へと向かった。
下駄箱で靴に履き替え、全力とは言わないけどなるべく速めに走って校門へ向かう。



「神崎ー!」


校門付近に近付くと座り込んでいる神崎の姿が見えた。
あの待ち焦がれた顔を見ると少しだけ笑いがでた。


「山村ー!遅いぞ!俺を待たせたんだから、今日は山村のおごりな!」


ベーと舌を出しながら意地悪そうに笑う神崎にあたしは言い返す。


「えー!?あたし、そんなにお金ないって!」


確か今月のお小遣いは約半分は使い切っている。
そう思いながら鞄に入っている財布をガサガサと探した。


「あれ、おかしーな。確か鞄に入れたはずなのに・・・。」


鞄のどのポケットを探しても財布は見つからない。
あたしの記憶ではちゃんと入れたはずなのに。


「どーせ、教室に忘れたんだろ。」


「んー、そうかも。ちょっと取りに行ってくるね!」


神崎にそう告げて、あたしは走って教室へと戻った。
もう本当にあたしってば馬鹿だ。


誰もいないシンとしている静かな廊下はあたしの足音が響き渡っている。
そして、ようやく教室に着いた。
もう皆帰っただろうから教室には誰もいないだろうな。

なんて思っていたけどあたしの予想は見事にハズレて教室からは声が聞こえた。
チラリと見てみるとそこには梓ちゃんと白木がいた。

白木は机に座っていて、梓ちゃんは立っている。
あの2人、どうしたんだろう。


あたしの心臓はドクンドクンと大きく音を立てている。
これじゃあ、教室に入れないと思ったあたしは悪いと思ったが隠れて話を聞く事にした。
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