はじけるピンクの恋心
たった2人きりの教室で梓ちゃんと白木は何を話しているんだろう。

もしかしたら2人は・・・なんて思ったがそれはあり得るはずがない。
梓ちゃんは、神崎に一途なんだから。



『ねぇ、白木くん。白木くんはまだ紗奈ちゃんの事好きなんでしょう?』


梓ちゃん、どうしてそんな事を白木に聞くの?

その答えを知ったら、あたしはどんなに動揺するだろうか。
あんなにヒドイ態度をしている白木がまだあたしの事を好きだなんて事はあるはずがない。
最初からわかっている答えを本人の口から聞くのはどんなに辛いだろうか。


『俺は・・・。』


嫌だ。
聞きたくない。

思わず耳を塞いでしまいそうな時、白木は全てを言い終わった。


『俺は、ずっとずっと大好きだよ。山村と別れる前も言ったよ。俺は山村を嫌いになんてなれない。』


そうだ。
別れる前に白木は「ずっとずっと大好きだよ。」と言ってくれた。
だけど、あたしはその言葉を信じたつもりでいたが、あんなヒドイ態度をされると信じようにも信じられなかった。



『なら、どうして別れるの?この前だって、紗奈ちゃんの事を想って泣いてたんじゃないの?あたし、ずっとそう思ってたよ?・・・だってそれしか理由がないから。』


『・・・そうだけど、想うだけだったら良いだろ。俺は付き合ったりはしないよ。』


『どうして・・・?あっ!もしかして、神崎くんに・・・。』


『ごめん、渡辺。俺もう帰る。』



足音が近づいてくるのがわかる。
隠れなきゃ、早く隣の教室かどこかに隠れないと盗み聞きした事がバレちゃう。


そう思った時には既に遅い。


「山村・・・?どうして、ここに。まさか・・・聞いてた?」


驚いた顔と共に白木が話かけてきた。
久しぶりだ。こんなに近くで顔を見るのも、白木と口を交わす事も。
あたしはそんな小さな喜びを胸に、この状況の悪さを一瞬忘れてしまっていた。


「ごっ、ごめん!聞くつもりじゃなかったんだけど・・・。」


言い訳にしか聞こえない様な言葉を言っているあたしは馬鹿らしい。



「だったら・・・さっきの事は全部忘れて。」
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