はじけるピンクの恋心
もう白木なんか・・・。
白木なんかどうでも・・・。


「良くないよ・・・。」


かすれた声と頬には涙が落ちてくる。
悲しさと現実に涙が溢れ落ちて、ただ梓ちゃんが信じられなくて何もかもがわからなくなった。


「山村、やっぱ今日はやめよっか。何があったかは知らんけど。泣いても良いけど俺の前でそれ以上泣くと襲っちゃうぞ?」


そう悪戯っぽく笑みを浮かべた神崎はまるで“元気出せよ”と言っているみたいで、あたしはそんな神崎を涙でぐしょぐしょの顔で見つめるだけだった。
でも、そんな涙を手で拭い神崎をキッと目で睨み「やめないよ。もう今日はヤケ食いしてやるもんね。」と呟いた。


・・・-


「んー、美味しい!このケーキ、チョコがとろけて凄く美味しいよ!」


「・・・山村、食いすぎ。腹壊すぞ?」


さっきの涙が嘘の様に、あたしは笑顔でテーブルに並ぶケーキやクッキーなどのスイーツを堪能する。今は無理してでも食べてないと落ち着かない。


「大丈夫!全然まだまだ食べれるよ。だってスイーツは別腹でしょ?」


「そっか、なら良いけど。」


ケーキをパクパク食べるあたしを神崎はずっと見ている。どうやら神崎はケーキ3個でギブアップみたい。でも男の子ってあんまり甘いもの食べないんだよね。
そんなことを頭の片隅で考えながら、あたしはまた一口とケーキを口に運ぶ。


本当に美味しくて幸せ。
もうずっとここに居たい。
明日の学校なんか行かないでずっと神崎とこうして・・・。

でも、やっぱり白木が良い。
わがままだけど白木が良い。改めて身をもって感じたんだ。

このケーキの様に甘い恋がしたい。
このケーキの様に幸せな恋がしたい。

梓ちゃんが白木と付き合うなんて信じられない。
きっと何かあるはずだよ・・・ね?
そんな可能性を胸に抱きながら、あたしはまた一口とケーキを口に運んだ。
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