はじけるピンクの恋心
ぐるぐると先程の出来事が頭を走馬灯の様に駆け巡る中。
白木は携帯を片手にドアノブに手をかけてベッドで寝そべるあたしに呟いた。


「俺、ちょっと出かけるから。具合が良くなかったら帰りなよ。」


そう言って姿を消した白木に唖然とした。
普通、女の子が家にいる時に出ていく?
しかも具合が良くなったら勝手に帰れって事だよね?
それって・・・酷くない?

そんな事を思いながらも、あたしはすぐさま帰る支度をした。
まずは布団をキチンとたたみ、白木が持ってきてくれたお水を飲み干し、ぐしゃぐしゃになった髪を手でとかした。

コップはここに置いてて良いよね?
わざわざキッチンまで行くと勝手に入る訳だから気が悪いし。

・・・じゃあ帰ろうか。
白木の匂いが香る部屋を後にし、あたしは玄関へと行き靴を履いて白木の家から出た。
鍵、閉めなくて大丈夫なの?
そう思ったが、白木はずぐに帰って来ると思い気にせずに自分の家へと足を進めた。


「ただいまー。」

「あ、紗奈か。まだ父さんと母さん帰ってないから適当に飯作ってー。」


そんな事を生意気に行ってくる弟の圭太には苛立ちさえも感じる。
作ってほしいなら、ちゃんとした言葉で言ってよね。


「なんでお父さんとお母さん帰ってないの?お父さんは仕事だからわかるけどお母さんは?」

「なんか遠い親戚の葬式だってさ。さっき母さんから連絡あった。」

「へぇー、なら遅くなるね2人とも。」


全くそんな事など知らなかったあたしは鞄を自分の部屋に置き、制服のままキッチンの冷蔵庫の中身を拝見した。


「何もないじゃん!」


見て驚いたのが今晩のご飯にできる様なものがない事。
何でも良いから昨日の残りご飯とかないの?


「じゃあ、出前でもとる?」

「バカ、勝手に出前なんかしたらお父さん怒るでしょ。だからスーパーに買いに行くよ!圭太は荷物持ちとして着いて来てよ!」


そう言うと圭太は嫌そうな表情を浮かべながらも「はいはい、わかりましたー。」と一応は承諾してくれた。
全く、あたしが作ってあげるんだからそれぐらい喜んで引き受けてよね・・・。

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