アイドル様の秘密【上】
一章~アゲハ蝶~
裏社会の帝王、六条寺 純極(ろくじょうじ じゅんごく)を祖父に持つ

六条寺組に生まれた女の子。

六条寺 飛沙(ろくじょうじ ひずな)の右肩にはアゲハ蝶が刻まれている。

アゲハ蝶は六条寺組の象徴のマーク。

小さな頃から裏社会を見てきた飛沙に嘘などは通じない。

騙しも通じない。


「…また飛奈さんテレビも見ないで本を読んでるんですか?」

飛沙の世話係の榎戸 神塚(えど かずか)が言う。

「神塚…」

飛沙は持っていた本を〝パタン〝と閉じて言った。

「たまにはテレビなどを見てください。

お友達のお話についていけませんよ。」

神塚はそう言いテレビをつける。

「別に…友達なんていないし。」

飛沙はメガネを外しテレビを睨みつける。

「はぁ~…。飛沙さんは組を恨んでいるんですか?」

突然神塚が聞く。

「まさか…!むしろ好きだけど。

なんで?」

「組のせいでお友達ができないのだと思ってたので…」

「人聴き悪いなぁ…な訳無いでしょ。

確かに小さな頃から神塚たちを見てきたからさ、

嘘とか騙しとかはわかるけど…それで友達ができないわけじゃないと思う。」

飛沙はそう言いテレビを見た。

「そうですか…」

「あっ!!」

飛沙が突然大声を上げた。

「!!な、なんですか!?」

神塚が慌てて飛沙に駆け寄る。
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