泣いてる彼女を見つけた
放課後の夕日の中
帰ろうとして、忘れ物を思い出した俺は帰った教室で泣いている彼女を発見した。
「ぅぐっ…ひ、ぅあ…」
夕日が照らす、夜と昼の変わり目。
地べたに座り込んでひたすら目元を拭う彼女に、度肝を抜かれた。
「…幸(サチ)」
「んが?」
声をかければ、安易に振り向いた。
グシャグシャの目元に、締まりのない口。
あ、やっぱり泣いている。
「あ!吉永(ヨシナガ)!」
俺の存在に驚いたのか、素早く立ち上がって、ちょこまかと教室の隅に移動した。
「なに、どうしたの?」
「半径5m以内立ち入り禁止!吉永は男の子だから!」
理不尽をいきなり言い渡され、思考が追い付かなくなった。