泣いてる彼女を見つけた
…でも、待てよ?
女の子としてなら、彼女に触れられるんじゃないか?
絶対に叶わぬ恋だと知りながら、それでも彼女を支えることはできる。
「……」
バカな、血迷うような。
終わりだぞ、そうなったら。
「吉永ぁ」
「ん?」
不意に、幸に名前を呼ばれた。
表をあげれば目の前には本が。
否、エロ本が。
「ん、なっ」
赤いビキニをきた女の人が、胸元をさらけだすようなポーズをとっている。
この人、知ってる。
いや、名前とかじゃなくて、クラスの学級文庫に紛れ込ませるように置かれたエロ本の女の人だ。
知ってるよ、そりゃあ。
このエロ本、クラスで有名だから。
幸の背後には学級文庫。
取り出すことは可能だが、なんで俺に見せて――
「あ!耳が赤くなってる!」