さちこのどんぐり
~私が見たい笑顔
その日、大森和也は、なぜか無性に「にく」が食べたかった。
普段はあまり肉は食べないのだが、時々こんな気分のときがある。
夜、仕事が終わってから部下でも誘って「焼肉屋」にでも行こうかと考えていたが、
その日に限って、誰もつかまらない。
「これは…ひとり焼肉に挑戦するか…」
大森は焼肉屋とかファミレスとかに一人で入ることが苦手だった。
入口で「何名様ですか?」と聞かれる時点で入りづらい。
しかもファミレスのテーブルってやつは無駄に大きくて
一人でそれを占拠してしまう罪悪感に、いたたまれなくてゆっくりできないからだった。
「どこか一人でも入りやすそうな焼肉屋はないかな」
そう考えた大森は、夜の駅前を焼肉のチエーン店に向かって歩いた。
こういうところなら一人でも入りやすいだろう。
そう考えてのことだったが
にぎやかな店内に入り、入口のレジ脇に立っていた店員に
「お客様は何名ですか?」と聞かれ、思わず
「あ…いや、やっぱりやめとく」
そう言って店から出てきてしまった。
「あーあ…」店のすぐ外で溜息をつく大森は、自分の目の前に
見覚えのあるピンクのコートを着た女の子が立っているのに気付いた。
普段はあまり肉は食べないのだが、時々こんな気分のときがある。
夜、仕事が終わってから部下でも誘って「焼肉屋」にでも行こうかと考えていたが、
その日に限って、誰もつかまらない。
「これは…ひとり焼肉に挑戦するか…」
大森は焼肉屋とかファミレスとかに一人で入ることが苦手だった。
入口で「何名様ですか?」と聞かれる時点で入りづらい。
しかもファミレスのテーブルってやつは無駄に大きくて
一人でそれを占拠してしまう罪悪感に、いたたまれなくてゆっくりできないからだった。
「どこか一人でも入りやすそうな焼肉屋はないかな」
そう考えた大森は、夜の駅前を焼肉のチエーン店に向かって歩いた。
こういうところなら一人でも入りやすいだろう。
そう考えてのことだったが
にぎやかな店内に入り、入口のレジ脇に立っていた店員に
「お客様は何名ですか?」と聞かれ、思わず
「あ…いや、やっぱりやめとく」
そう言って店から出てきてしまった。
「あーあ…」店のすぐ外で溜息をつく大森は、自分の目の前に
見覚えのあるピンクのコートを着た女の子が立っているのに気付いた。