さちこのどんぐり
◆リベンジ
穏やかに晴れた昼過ぎ
吉田克弥は駅前で待ち合わせている旧友を待っていた。

栃木県にある、かなりのどかな町にある小さな駅。
まだ肌寒く感じることもあったが、
そろそろサクラの開花予想も出され、
暖かく、穏やかな春の日だった。

朝、自宅を出るときには着ていた黒いコートを手に持ち、
上半身には深いグリーンのセーターだけで十分寒くはなかった。


小さな駅舎を出て、さびれた駅前を見渡した。

そこから少し歩いて見つけた駅前のバス停で、その時刻表を見ると、

「一日に６本しかない…」

しかし、今年６３歳になる吉田にとっては懐かしい景色だった。

さほど高い建物はなく、狭い町の向こうには青く山が見える。
「いいところだ」と言っていた木村の言うとおりだったなと吉田は思った。

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