さちこのどんぐり
その夜、
木村の新居に泊まることにした吉田は彼と二人で酒を飲んでいた。

すっかり酔いのまわってきた木村は

「ここでの暮らしは結構、気に入っている。
健康的だし、何よりのんびりしている。
でも、実は東京に一つだけ心残りがあるんだ。」



「まさか…」と考える吉田に

「そうだ!カラスとのリベンジだ!」

手に持っていた器の酒を一息で飲みほして木村は言いきった。

それを聞いた吉田は

「はあああああああ??!!」

それしか言葉が出てこなかった。




「見てくれ」
木村は奥の部屋から、例のカラス撃退グッズを吉田の前に運んできて、

「俺なりに改良を加えた。捕獲ネットは3回まで連射が可能になっている。」


吉田が黙って聞いていると、

「しかも、ここにいる田舎のカラス相手に訓練もした。
いまの俺なら勝てると思うんだが、絶対勝つために、念には念を入れたい。」



吉田は嫌な予感がしていた。

「俺と一緒にカラスと戦ってくれ!」

そんな木村の言葉に吉田はもう一度

「はあああああああ??!!」
としか言葉が出てこなかった。
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