さちこのどんぐり
◆エピローグ
「灯籠流し」が行われる場所には、たくさんの人が集まっていた。

その夜は満月が出ていて、その月明かりが私たちを照らしてくれていたが、
それ以外、その周囲には人工の灯りがほとんどないため、
私は薄暗い川辺を足元に注意しながら歩いていた。

川まで辿り着いて
「さちこ」と書かれた灯籠を静かに川に浮かべるとき
私は不思議な出来事を思い出していた。

さちこのお墓を作って数日が経ってから、
朝、「どんぐり」が私の部屋の前に落ちていた。

あれは…

きっと、さちこだったと思う。




その「どんぐり」を拾った日に
私は和也と出会った。

かなり年上の彼で、周囲は驚いているけど、
私は和也が大好き。
とても優しくて、強くて、それでいて少しかわいくて
なにより、とても私を大切にしてくれる。

私は今、とても幸せ。


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