さちこのどんぐり
~さちことの出会い
いつものアルバイト先からの帰り、時刻は21時を過ぎていた。
暖房の効いていた電車からホームに降りると冷たい風が顔に当たり、
奈津美は右手でコートの襟を閉めた。
改札を抜け、駅通路を左に曲がる。
長いエスカレータを下って、奈津美がいつもの最寄駅前にでると
そこには気の早い大きなクリスマスツリーが飾ってあった。
それは冷たい空気のなかキラキラ光ってて…
「うわ…綺麗…今年も、もうそんな時期なんだな」
そんなこと考えながら…
こんな景色を彼氏と二人で眺める…
ピンクのコートの袖に寒そうに手を引っ込めながら、クリスマスツリーを眺める奈津美の頭の中で、そんな妄想が膨らんでいった。
ふいに小野寺の顔が頭に浮かび、
奈津美は顔がカアッとなるのを感じていた。
駅から15分程歩いた住宅街にあるアパートの自室の前に奈津美がたどり着くと
「にゃー」
入口の脇にある塀のかげに小さなノラネコがいた。
白い猫なんだろうけど、すっかり薄汚れちゃって今はグレー。
奈津美を見て逃げるわけでもなく、かといって近寄ってくるわけでもなく
距離をちょっと保ちながら、こっちを見てるだけだった。
「おいで、おいで…」
奈津美はネコに声をかけてみたが、
ネコは警戒したまま近寄ってくることはなかった。
暖房の効いていた電車からホームに降りると冷たい風が顔に当たり、
奈津美は右手でコートの襟を閉めた。
改札を抜け、駅通路を左に曲がる。
長いエスカレータを下って、奈津美がいつもの最寄駅前にでると
そこには気の早い大きなクリスマスツリーが飾ってあった。
それは冷たい空気のなかキラキラ光ってて…
「うわ…綺麗…今年も、もうそんな時期なんだな」
そんなこと考えながら…
こんな景色を彼氏と二人で眺める…
ピンクのコートの袖に寒そうに手を引っ込めながら、クリスマスツリーを眺める奈津美の頭の中で、そんな妄想が膨らんでいった。
ふいに小野寺の顔が頭に浮かび、
奈津美は顔がカアッとなるのを感じていた。
駅から15分程歩いた住宅街にあるアパートの自室の前に奈津美がたどり着くと
「にゃー」
入口の脇にある塀のかげに小さなノラネコがいた。
白い猫なんだろうけど、すっかり薄汚れちゃって今はグレー。
奈津美を見て逃げるわけでもなく、かといって近寄ってくるわけでもなく
距離をちょっと保ちながら、こっちを見てるだけだった。
「おいで、おいで…」
奈津美はネコに声をかけてみたが、
ネコは警戒したまま近寄ってくることはなかった。