さちこのどんぐり

~幸せですか?

平日の午後3時。
あと1時間くらい経てば少しずつ周囲が暗くなり始めてしまう。

昼間でも、すっかり寒くなってしまった公園には
訪れる人も、遊ぶ子供もほとんどいなくなっていた。



小野寺はまた、そんな公園の冷たいベンチに紺のスーツ姿のままで座っていた。

相変わらず
神戸にいたころの前カノのことをぼんやりと思い出しながら。


ポケットのなかの左手はスマホを指でなぞっている。

来るはずがないとわかっていながら、
彼女からの連絡を今でも彼は待っていた。


話したくて、メールしてみようか迷って、それもできない。

小野寺は胸の痛みをこらえながら
缶コーヒーを一口飲んだ。

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