さちこのどんぐり
別れたときは
こんなに引きずるとは思わなかった。

彼女と別れて東京に来て、もう三か月目になる。



こっちでの仕事にも、まあまあ慣れてきた。

うるさく厳しかった社員寮の寮長も、
先月、急に辞めてしまって今はいない。

それなのに、別れた彼女に対しては今でも、こんな状態だ。



「はあ…」
三度目の溜息をついたとき

また小野寺の足元に、さっきの白いネコが近寄ってきた。

ネコは口に何かをくわえている。




それは「どんぐり」だった。

「???」

白いネコは
小野寺を警戒してるのか、彼から少し距離をとったところに
その「どんぐり」置いて、また、どこかへ行ってしまった。

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