さちこのどんぐり
そんなふうに語る小野寺の隣で、彼の話を聞いていた奈津美は悲しくなってきた。
こんなはずじゃなかった。
こんなことのために今日という日を彼女は楽しみに待っていたわけじゃなかった。
小野寺が語った恋愛観は、おそらく今、彼から聞いた「別れた彼女」の影響だろう。
同じ女性である奈津美の前で、こうまであからさまに前カノの話をされるとは想像もしていなかった。
少しみじめな思いと悲しく悔しい気持ちで
このままいたら小野寺の前で泣いてしまいそうになった奈津美は席を立った。
そして気が付いたら、居酒屋の外に出ていた。
駅から近い店の外は、夜でも明るく、たくさんの人が行きかい、
時折、駅からホームのアナウンスが聞こえてくる。
冷たい空気に当たって、奈津美は頬の涙が冷たく感じた。
それは
かって、淡い片思いをはせただけで終わった初恋とは違い、
奈津美にとって初めての失恋だった。
深夜12時近くに、彼女は郊外にある自分の部屋にたどり着いて、
そのままベッドにもぐりこんだ。
そして泣いた。
でも、でも、
「与えることを考え、与えたいと考えることが恋愛だ」と小野寺が言ってたことは正しい。
小野寺にとって、忘れられない前カノは
「彼を、そんなふうに考えさせた女性」だったのだ。
一方、奈津美は恋愛に憧れるうちに、自分の夢や理想ばかり考え、「与えてもらう」ことばかり考えていた。
同じ女性に圧倒的な差を見せつけられた気がして、奈津美はベッドのなかでずっと泣いていた。
こんなはずじゃなかった。
こんなことのために今日という日を彼女は楽しみに待っていたわけじゃなかった。
小野寺が語った恋愛観は、おそらく今、彼から聞いた「別れた彼女」の影響だろう。
同じ女性である奈津美の前で、こうまであからさまに前カノの話をされるとは想像もしていなかった。
少しみじめな思いと悲しく悔しい気持ちで
このままいたら小野寺の前で泣いてしまいそうになった奈津美は席を立った。
そして気が付いたら、居酒屋の外に出ていた。
駅から近い店の外は、夜でも明るく、たくさんの人が行きかい、
時折、駅からホームのアナウンスが聞こえてくる。
冷たい空気に当たって、奈津美は頬の涙が冷たく感じた。
それは
かって、淡い片思いをはせただけで終わった初恋とは違い、
奈津美にとって初めての失恋だった。
深夜12時近くに、彼女は郊外にある自分の部屋にたどり着いて、
そのままベッドにもぐりこんだ。
そして泣いた。
でも、でも、
「与えることを考え、与えたいと考えることが恋愛だ」と小野寺が言ってたことは正しい。
小野寺にとって、忘れられない前カノは
「彼を、そんなふうに考えさせた女性」だったのだ。
一方、奈津美は恋愛に憧れるうちに、自分の夢や理想ばかり考え、「与えてもらう」ことばかり考えていた。
同じ女性に圧倒的な差を見せつけられた気がして、奈津美はベッドのなかでずっと泣いていた。