さちこのどんぐり
葬儀の場所は東京郊外に隣接する地方都市の駅近くにあるセレモニーホール。
その日、空は曇っていたが幸い雨は降っていなかった。
昼過ぎに電車で葬式場の最寄り駅に着いた大森が駅前に出ると、彼が新入社員時代によく来ていた街は、すっかり変わっていた。
最近新しくできたらしい大きな商業ビルのなかを抜け、
通りを少し歩くと、
葬儀が行わているセレモニーホールはすぐに見つかった。
入口への階段を少し登って、
ガラス張りのモダンな雰囲気の入口から
その建物の中に入り、
記帳を済ませた大森は葬式場のなかを見渡した。
80席くらいの椅子が並べられた先にある
白い祭壇の周りには多くの献花が並べられており、
この社長の人柄を表していた。
無口でいつもムスッとしていたが、優しい人柄だった。
仕事には真面目な人で、経営してた自動車修理工場を指定工場にまでした。
自分の会社にいた整備士が独立するときは開業を助けてやり、
商売敵になったのに
その後も、いろいろ相談に乗ってあげたり、
困ってると助けてやったり…
だから、
この地域の自動車整備工場の社長のほとんどが
このひとを「親父さん」て呼んでいた。
その日、空は曇っていたが幸い雨は降っていなかった。
昼過ぎに電車で葬式場の最寄り駅に着いた大森が駅前に出ると、彼が新入社員時代によく来ていた街は、すっかり変わっていた。
最近新しくできたらしい大きな商業ビルのなかを抜け、
通りを少し歩くと、
葬儀が行わているセレモニーホールはすぐに見つかった。
入口への階段を少し登って、
ガラス張りのモダンな雰囲気の入口から
その建物の中に入り、
記帳を済ませた大森は葬式場のなかを見渡した。
80席くらいの椅子が並べられた先にある
白い祭壇の周りには多くの献花が並べられており、
この社長の人柄を表していた。
無口でいつもムスッとしていたが、優しい人柄だった。
仕事には真面目な人で、経営してた自動車修理工場を指定工場にまでした。
自分の会社にいた整備士が独立するときは開業を助けてやり、
商売敵になったのに
その後も、いろいろ相談に乗ってあげたり、
困ってると助けてやったり…
だから、
この地域の自動車整備工場の社長のほとんどが
このひとを「親父さん」て呼んでいた。