さちこのどんぐり
秋晴れのなかに建つ5階建の賃貸マンションの下で結衣は
「懐かしいなぁ…」
そう思いながら歩道から部屋を見上げた。
確か浩二は3階に住んでる。
そのとき
「結衣ちゃん?」
急に後ろから声をかけられドキッとした結衣が声のほうに振り返ると
「昔、よくうちに遊びに来ていた結衣ちゃんだろ?」
スーパーの買い物袋を手にさげた浩二の父親が立っていた。
結衣が浩二の家によく遊びに行ってた頃から、少し太っていた「クマさん」体型は相変わらず。
口髭の上にある優しい目も当時のままだった。
「おじさん。ご無沙汰しています。」
「見違えちゃったよ。すっかり綺麗なお嬢さんになって」
「いやいや…それほどでも…そうですけど」
「浩二から聞いてるよ。この前付き合い始めたって言ってたのに、早速、昨日ケンカしたんだって。あいつ『もうだめかもしれない』って落ち込んでたぞ」
「……………」
「せっかく、ここまで来たんだから、ちょっと寄ってきなさい。」
「いえ、私…」
「いいから、いいから」
結衣は、なかば強引な浩二の父親に誘われるままマンションのなかへ入っていった。
「懐かしいなぁ…」
そう思いながら歩道から部屋を見上げた。
確か浩二は3階に住んでる。
そのとき
「結衣ちゃん?」
急に後ろから声をかけられドキッとした結衣が声のほうに振り返ると
「昔、よくうちに遊びに来ていた結衣ちゃんだろ?」
スーパーの買い物袋を手にさげた浩二の父親が立っていた。
結衣が浩二の家によく遊びに行ってた頃から、少し太っていた「クマさん」体型は相変わらず。
口髭の上にある優しい目も当時のままだった。
「おじさん。ご無沙汰しています。」
「見違えちゃったよ。すっかり綺麗なお嬢さんになって」
「いやいや…それほどでも…そうですけど」
「浩二から聞いてるよ。この前付き合い始めたって言ってたのに、早速、昨日ケンカしたんだって。あいつ『もうだめかもしれない』って落ち込んでたぞ」
「……………」
「せっかく、ここまで来たんだから、ちょっと寄ってきなさい。」
「いえ、私…」
「いいから、いいから」
結衣は、なかば強引な浩二の父親に誘われるままマンションのなかへ入っていった。