さちこのどんぐり
それから半年くらいたって
駅前がクリスマス一色になったある冬の日に再び大森は駅のホームで浩二と出会った。

「今日は一人か?お母さんは元気になったか?」
そう尋ねる大森に浩二は





「おかあちゃん死んでもてん…」



大森は何も言ってやれないまま、浩二と同じ電車に乗った。

そんな重い病気だったんだ…
だからこいつはあんなに気遣って、おかぁちゃん、おかぁちゃんて…
この半年、とても悲しい思いをしたんだろなぁ…とか考えてたら、
いつしか彼は電車の窓の外を見ながら泣いていた。



やがて
大森が降りる駅が近づいてきたので浩二に尋ねた。

「どこまで行くんだ?ひとりで大丈夫か?」


浩二は
初めて会った日と同じ生意気な表情で




「大丈夫や!

  ボクもう三年生やもん」






その日は大森が鼻水出していた。



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