さちこのどんぐり
いまから10年ほど前、
現在は老朽化から取り壊されてしまったが、
部下の小野寺が入居している社員向け独身寮の隣には
家族向けの集合社宅もあった。
当時、その集合社宅に坂崎は住んでいた。
娘の香奈はまだ小学校に行き始めたぐらいのころで、
「お父さん大好き」なんて
言ってくれてたころだ。
その頃の坂崎は地元の父兄会からの依頼を受けて、
社宅の近くにあった川沿いのグラウンドで
週末だけ近所の少年サッカーチームのコーチをしていた。
他にサッカー経験のある適任者がいなかったことと
「お願いします!」という父兄たちの言葉に
しかたなく彼は引き受けたものの、
晩秋のころも過ぎると川沿いにあったグランドは寒く
寝坊したい日曜日の朝から行われるサッカー練習は
坂崎にとって、少し億劫でもあった。
「ちゃんとストレッチやって!ケガしないために大事なんだぞ!」
20人くらいの小学生を相手に
朝の8時から休憩を挟みながら昼12時まで
(眠いし…寒いし… ガキは生意気だし…)
息はすっかり白く、ベンチのプラスチックの冷たさが
服越しにはっきり伝わるような気がするくらい
練習スタート時は寒く、つらいものだった。
現在は老朽化から取り壊されてしまったが、
部下の小野寺が入居している社員向け独身寮の隣には
家族向けの集合社宅もあった。
当時、その集合社宅に坂崎は住んでいた。
娘の香奈はまだ小学校に行き始めたぐらいのころで、
「お父さん大好き」なんて
言ってくれてたころだ。
その頃の坂崎は地元の父兄会からの依頼を受けて、
社宅の近くにあった川沿いのグラウンドで
週末だけ近所の少年サッカーチームのコーチをしていた。
他にサッカー経験のある適任者がいなかったことと
「お願いします!」という父兄たちの言葉に
しかたなく彼は引き受けたものの、
晩秋のころも過ぎると川沿いにあったグランドは寒く
寝坊したい日曜日の朝から行われるサッカー練習は
坂崎にとって、少し億劫でもあった。
「ちゃんとストレッチやって!ケガしないために大事なんだぞ!」
20人くらいの小学生を相手に
朝の8時から休憩を挟みながら昼12時まで
(眠いし…寒いし… ガキは生意気だし…)
息はすっかり白く、ベンチのプラスチックの冷たさが
服越しにはっきり伝わるような気がするくらい
練習スタート時は寒く、つらいものだった。