闇黒竜 ~1000年の時を越えて~
「…大丈夫か?」
頬に触れていた大きな手がそっと私の目尻へと伸び、軽く拭ったのが分かり目を瞬く。
もしかして私…、
泣いてるの?
どうして?
温かく大きな手が心地よくて、瞳を閉じ思わず頬づりした。
何だろう…
凄く…、心地よい---
安心するその手に頬を摺り寄せそれからもう一度、目の前にいるお兄さんに目を向けた。
『お兄さんは…、誰?』
口は動いたのに、声が出なかった。
喉をやられたのかも知れない。
それでも目の前のそのお兄さんは私の唇から何を話したかったのか分かってくれたようで、一つ頷く。