闇黒竜 ~1000年の時を越えて~
「だ…、れ?」
「グゥルルルル…」
出ない声を必死に出せば、擦れた声が声帯を震わせた。
ルトはさっきまでの炎のダメージがもう薄まったのか地面に倒れている私の肩の上で、警戒態勢をつくりながら唸り声を上げる。
人型の影は微かな足音のみを立てながら…、
ゆっくり私へと向かって来た。
どうしよう---
逃げた方がいいよね?
でも、身体が全く言う事を聞いてくれない。
気持ちだけが必死になって逃げ惑っているが、身体は一ミリたりとも動かないのだ。
「…大丈夫か?」
黒いマントを身に纏ったその人は私の前まで来ると跪き、私の顔を覗き込む。
「………」
ドクンッ---
目が合った瞬間、大きく胸が鳴った。