闇黒竜 ~1000年の時を越えて~


「だ…、れ?」


「グゥルルルル…」



出ない声を必死に出せば、擦れた声が声帯を震わせた。


ルトはさっきまでの炎のダメージがもう薄まったのか地面に倒れている私の肩の上で、警戒態勢をつくりながら唸り声を上げる。



人型の影は微かな足音のみを立てながら…、


ゆっくり私へと向かって来た。




どうしよう---



逃げた方がいいよね?


でも、身体が全く言う事を聞いてくれない。




気持ちだけが必死になって逃げ惑っているが、身体は一ミリたりとも動かないのだ。




「…大丈夫か?」



黒いマントを身に纏ったその人は私の前まで来ると跪き、私の顔を覗き込む。


「………」




ドクンッ---


目が合った瞬間、大きく胸が鳴った。


< 8 / 130 >

この作品をシェア

pagetop