生意気毒舌年下男子
第1章
引っ越してきた君
ジリリリリ―――ッ!
バチッ!
うるさい目覚まし時計を止め、あたしはベッドから起き上がった。
「幸来(さら)!
早く起きなさい、遅刻するわよ!!」
下からお母さんの声がして、あたしは急いで制服に着替えた。
何の変化もない、ごく普通の日常。
急いで制服を着て、急いで洗面所に駆けて。
急いで顔を洗って、急いで朝ご飯を食べて、急いで歯磨きをして。
いつも通り自転車の鍵を手に取った時だった。
「幸来、ちょっと待ちなさい!」
「何?
早くしないと電車間に合わないんだけど?」
「今日は幸来にお願いがあるのよ!」
「え?
今日って、スーパー特売日だっけ?」
お母さん、たまに学校帰りに買ってこいって言うからなぁ。
めんどくさいんだけど、断ったらお小遣い減らされちゃう。
大好きな漫画を買うためには、バイト禁止の高校に通うあたしにとっては痛手。
だから我慢しているんだ。
偉いでしょ、あたし。
もっと褒めて!
自画自賛しちゃうから!!
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