生意気毒舌年下男子
顔を見合わせているうちに。
早乙女くんは先輩の腕から鞄を奪い取った。
そして鞄を、真っ逆さまにした。
中からおにぎり・パックジュース・パン・ゼリーなどが出てくる。
全てに値札が貼られていて、お店のシールは貼られていない。
お会計、されていないやつだ。
……言い換えれば、万引きしたやつだ。
「先輩、万引きは犯罪ですよ?」
「……ッ」
「今すぐ返してください。
先輩だけでなく、他の皆さんも」
眼鏡の奥の凍てついた瞳が、久遠先輩たちを睨む。
「…フッ」
「何が可笑しいんですか?」
久遠先輩が何故か笑った。
その異様な光景に、あたしや早乙女くんだけでなく、チャラい人たちも驚いていた。
「万引きして、何が悪いんだよ」
先輩は、先輩とは思えないぐらい低い声で言った。
そして怪しく微笑む。