生意気毒舌年下男子
☆☆☆
「何している、トロいな」
「うるさいっ……誰のせいだと…思っているのよ……」
あたしは鞄を持ち、小走りで早乙女くんを追いかけた。
でも、息は安定していなくて、肩を上下させている。
2人乗りって、こんなに大変なんだ……。
いつも後ろに乗っていたからな…。
「ここが駅か?」
「そうだよ」
あたしの駅は各駅停車しか停まらない、小さな駅。
無人駅っていうほど小さくないけどね。
「案内しろ」
「…いちいち上から目線だな」
溜息をつきながら、あたしは改札へ向かうエレベーターに乗り込んだ。
改札を通ろうとすると、思い切り肩を掴まれた。
「…うぉっ!?」
「……もう少し女らしい悲鳴はあげられないのか」
「いきなりだったからね。
で、いきなり引っ張って何の用よ」
「切符買わねぇでどうやって乗るんだよ、馬鹿」
あ、そっか。
あたしは定期があるけど、早乙女くんは初めてなのか。
あたしは早乙女くんが切符を買い終わる姿を、見ていた。