生意気毒舌年下男子
笑顔のキミ
☆☆☆
あたしは1人、屋上で空を眺めていた。
何も考えず、ただぼんやりと。
ガチャ……
扉の音に、あたしはゆっくり振り向いた。
「待ったか?」
「ううん、待ってない。
そんなことより、大丈夫?」
「うん」
あたしの隣に座った彼―――早乙女くん。
あたしと同じよう、空を眺め始めた。
「全部、聞いた?」
「ううん」
「熱心に聞いていたじゃん、あの人たちのこと」
「妾って出てきたからね…。
気になって、聞いちゃったんだよ」
「まぁ昔ではよく使われたんだろうけど、今は聞かないからなぁ」
ぼんやりとした、雲のようにふわふわしているあたしたちの会話。
地に足なんてついていないけど、あたしはそれで良いと思った。