生意気毒舌年下男子
☆二瑚side☆
物心ついた時から、俺の家には両親以外の人がいた。
名前も知らない、派手な男と女が、溢れかえっていた。
「二瑚、わたし××さんと一緒に寝るから。
二瑚はあっちに行ってなさい」
「わかった」
俺は夜中に家を抜け出した。
住んでいた家はアパートで、部屋なんてなかったから。
夜寒い中、溜息をつきながらどこへ行こうか歩いていた。
「何しているの?こんな夜中に」
「……誰?」
「それは当然の反応よね」
俺に話しかけてきたのは、俺の1コ上のサラだった。
サラは1人暮らしをしている、大人っぽい女だった。
「行くところないなら、アタシの家にいなさい」
「良いのか?」
「気にしないで。家に帰りたくないんでしょ?」
…確かに、あんな気味悪い声なんて、聞きたくない。
男は女が出すそう言う声が好きなんだろうけど。
俺は聞きたくない。
聞くんだったら、寒い夜に出掛ける方がマシだった。