生意気毒舌年下男子
最終章
守りたい君
☆幸来side☆
話し終えた早乙女くんのあたしの手を握る手は、震えていた。
怖かったんだと思う。
またイラナイと言われることが。
その不安が、寂しさが、抑えきれなくて。
腹痛と吐き気と言う形で出てきてしまったんだ。
あたしは繋いでいない方の手で、そっと右手首の包帯に触れた。
早乙女くんは、不思議そうな顔であたしを見た。
「外しても、良い?」
「……え?」
「万引きしそうになったら、切りたくなったら、あたしが止めるから」
「………良いよ」
より強くあたしの手を握った早乙女くんが、頷いた。
あたしはゆっくり、包帯を外し始めた。
いつも自信にあふれていて、堂々としていた早乙女くんだけど。
ただ単に器用なだけだったんだ。
器用だから、上手く隠せるんだ…自分の弱さを。
可愛らしい笑顔と、毒舌で、隠していたんだ。
ずっとずっと、年下らしい脆い中身を。
年上に、同年代に頼る方法を知らなかったんだ。
ずっとずっと、たった1人で弱いくせに生きてきたから。
だから少しでも優しくしてもらえると。
小さな子どものように、こうやって甘えてきてしまう。
震えを隠せないでいるんだ。