生意気毒舌年下男子







「……知っているわ」



え?




「私も暫くパパが自殺したことから立ち直れなくて、ずっと早乙女くんが入院していた病院に入院していたのよ。
そこで早乙女くんが何度も自殺未遂を起こしていたことを、私も知っていたわ」




雫……。




「早乙女くんも早乙女くんなりに苦しんでいるって知ったわ。
でも、パパを殺したことが、当時の私はどうしても許せなかった。
だから、高校に入って早乙女くんが幸来ちんと登校してくるのを見て、驚いたわ。

まさか……幸来ちんと同じマンションで、慎と同じクラスになるなんてね」




慎くんも頷いた。




「俺も驚きましたよ。
ずっと姉ちゃんが復讐したいって言っていた男が俺の隣になるなんて。
その上姉ちゃんの親友の幸来ちん先輩とこうやって恋人になるんですから」




雫…複雑だっただろうな。

復讐したいと思うまで憎んでいた人が、あたしの好きな人になるだなんて。




「私、幸来ちんがこういう性格じゃなかったら、早乙女くんに本気で復讐するつもりだったわ」

「え?」

「早乙女くんの過去や、私のパパを殺したことを認めないで別れるって言っていたら、私は早乙女くんに復讐しようとしたわ。
だから早乙女くん、命拾いしたわね」




命拾いって…。

雫、二瑚を殺そうと思っていたの!?



危なかった…。

自分の性格に感謝だわ。

多分金輪際ないだろうけど、自分の性格に感謝するなんて。







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