生意気毒舌年下男子
「おい」
「何よ」
「出口は、どっちだ」
「出口?
見ればわかるじゃない。
左右にあるでしょ」
「そういう出口じゃない。
いずれ電車降りるだろ、遅刻するんだから。
その時、降りるのは左右のどっちだ」
えっと……。
「わかんない」
「お前2年も通っているのに、わからねぇのか?」
「途中駅に停まるでしょ。
その度に移動するから、左右どちらかなんて意識していないの」
「…チッ」
舌打ちをした早乙女くんは、窮屈そうな体型のまま、吊革に掴まった。
あたしは掴まるところがなく、そのまま鞄を前に抱きしめたまま電車の揺れに身を任せた。