生意気毒舌年下男子
優しい?君
時間も経ち、後数分で高校のある下車駅だという時。
あたしの下半身に、手の感覚があるのを知った。
あたしの丁度…太ももら辺にある“何か”は、そっと上下に移動している。
……何だかなぁ~と思うあたしは、つくづく能天気だと思う。
こんな状況で、こんなことしか思えないなんて。
どうしよう。
“何か”を掴んで、思い切り叫ぼうか?
でもそんなこと、出来るはずない。
人違いだったら?
冷めた目で、乗客に見られたら?
どうしよう……。
「馬鹿じゃねーの?」
「!」
いきなりグイッと鞄ごと掴まれ、あたしは前のめりに倒れた。
ボスッと、誰かの体にぶつかった。
「さ、早乙女くん……」
「降りる駅、どこだ?」
「に、2個先の駅……」
「なら良い。……降りるぞ」
「え?」と言った所で、電車が停まる。
そして、扉が開いて行く。
早乙女くんはあたしの腕を引っ張り、出口へ向かって行く。
そして振り向きざまに言った。
「僕らがいた所にいたオジサンに気を付けてください。
彼女を痴漢しましたから」
早乙女くんの言葉に、慌てているオジサンがいた。
見たこともない、オジサン。
あの人が、あたしの……?
早乙女くんに引かれ、あたしは降りる駅の手前のホームに立った。