生意気毒舌年下男子
「早乙女くん…」
「駅から学校まで、何分?」
「10分ぐらい…」
「何分過ぎたら遅刻になる?」
「8時半……」
長袖のワイシャツの袖をめくった早乙女くんは、左手首に巻かれた時計を見た。
黒く、ゴツゴツしている時計だった。
「時間あるな。来い」
「え?」
早乙女くんは再びあたしの腕を引っ張り、ベンチの前にやってきた。
「座れ」
「何で」
「良いから座れ」
無茶苦茶だなぁと思いながら、ベンチに座る。
その隣に、早乙女くんも座った。
「ねぇ、何でこんな駅で降りたの?」
「泣き顔なんて、見られたくねぇだろ」
「泣き顔…?」
思わず目元に触れる。
でも濡れていない。
何で泣き顔……?