生意気毒舌年下男子
第2章
寂しそうな笑みの君?
遥華(はるか)市立土木沢(とぎさわ)高校。
共学の、普通の学力の高校。
特進クラスもあるけど、あたしは普通クラスに通っている。
特進クラスに入学出来るほど、あたしは頭良くないから。
下車駅で降りて学校への緩やかな坂道を上ったあたしは、校門をくぐった。
この土木沢高校が、あたしの通う高校。
これからは早乙女くんも通うんだなぁと思う。
「そういえば早乙女くん、何で制服違うの?」
「ここの制服頼んだけど、まだ届いてない」
「じゃあそれ、前の高校の制服?」
「……そうだな」
何故か不機嫌そうな表情に、拍車がかかった気がした。
前の高校で、何かあったのかな?
「幸来ちゃん、おはよう」
「あ!久遠(くどお)先輩!!」
向こうから来た先輩に向かって、あたしは手を振る。
久遠幸太郎(くどお・こうたろう)先輩。
入学式の時迷子になったあたしを、入学式の会場まで連れて行ってくれたことがあり、それからあたしたちは、会えば挨拶を交わす仲になっていた。
名前にあたしと同じ“幸”の漢字が入ることでも、仲良くなったんだ。