生意気毒舌年下男子
ちなみにあたし、久遠先輩のことが好きです。
気持ちはまだ伝えていないけど。
いずれ伝えられたら、良いなって思っているんだ。
「幸来ちゃん、その子は?」
「あたしの隣の家に引っ越してきた、早乙女くんです。
学校まで案内するよう、お母さんに言われたんです」
「幸来ちゃん、良い子だね」
ポンポンッと頭を優しく叩かれ、あたしは笑った。
先輩のあったかい手が、あたしは大好きなんだ。
「初めまして。
3年の、久遠幸太郎です」
「…1年の、早乙女です」
にっこり笑顔の久遠先輩とは違い、不機嫌そうな顔の早乙女くん。
笑顔に出来ないものかねぇ?
「職員室行くんだよね?
僕も丁度行く予定していたんだ。
幸来ちゃん、一緒に行かない?」
「ええ、是非!」
爽やか系王子と学年問わず言われるほど、先輩は人気者でかっこいい。
赤っぽい茶色の髪が、風に靡き、サラサラと揺れる。
そんな先輩の笑顔を1番独り占めしているのは、きっとあたしだ。
運良く「先輩を取らないで」などと言った少女漫画ちっくなことは起きていない。