生意気毒舌年下男子
職員室と教室の本館へ向かおうと、先輩と共に一歩を踏み出した時。
グイッと後ろから、手を引かれた。
「何するの?早乙女くん」
「……………」
あたしの問いかけには答えず、早乙女くんは先輩を睨む。
早乙女くんの、先輩を貫きそうな睨みに、先輩は負けじと微笑む。
あたしは当然、先輩の笑顔にキュンキュンした。
「僕、上野先輩と一緒に行きます。
だから、久遠先輩は来なくて結構です」
「…言っただろう?
僕も職員室行く予定だったんだ」
「僕が行くのは、職員室ではありません」
「……どこに行くんだい?」
「校長室です。
昨日電話したところ、校長室に来てほしいと言われました。
ですから、久遠先輩は来なくて結構です」
上野先輩、僕?
早乙女くんの違う言い方に、あたしは驚きを隠せなかった。
早乙女くん、ちゃんとあたしのこと先輩って言えるんだ。
「行きましょう、上野先輩」
「えっ、ちょっ!
す、すみません久遠先輩!!」
あたしは無理矢理、久遠先輩と離れさせられた。
グイグイ引っ張る早乙女くんの手の力は強くて。
男の子なんだな…と、あたしは実感した。