生意気毒舌年下男子
「どうしたのいきなり。
久遠先輩も一緒で良かったじゃない?」
もう少し、久遠先輩と一緒に話したかったな…。
先輩とは学年が違うから、学校内ですれ違うことなんてなくて。
会えることは、本当もう、奇跡って言っても良いほどなのに。
「良いじゃないですか先輩。もうすぐ着きますから」
あたしを見ずに、ズンズン歩いて行く早乙女くん。
敬語だし先輩とか言うし……。
本当、わけわからない後輩くんなんだから。
「失礼します」
早乙女くんは校長室の扉を開けた。
校長先生は、朝校門でたまに見かけるぐらい。
後は始業式とかそういう特別な式でしか会わない。
「…君は?」
「昨日連絡しました、早乙女です」
にっこり笑顔で校長先生と話す早乙女くん。
もしかしてコイツ、二重人格?
「あぁ、話は聞いているよ。
彼女は?」
「僕の家の隣なんです。
ここまで案内していただきました」
あたし案内していないんだけど…?
そういえば。
何で早乙女くんは校庭から迷わず、校長室まで来れたのだろうか?
来るのは初めてじゃないのかな……?