生意気毒舌年下男子
食堂は、多くの生徒で溢れかえっていた。
雫がお昼ご飯を注文している間、あたしは空いている席に座っていた。
そういえば、久遠先輩って食堂でお昼食べてるって前に言っていたよね?
あたしはお弁当だから…と諦めていたけど。
もしかしたら、久遠先輩に会えるかもしれない!?
そんな期待を胸に、あたしはキョロキョロ辺りを見渡した。
「お久しぶりです!」
突然声が聞こえ、あたしは振り向いた。
すると後ろに、慎くんが立っていた。
「慎くん!」
「こんにちは、幸来ちん先輩!」
雫があたしのことを“幸来ちん”と呼ぶから、慎くんもそう呼ぶのだ。
ただ先輩がついただけ。
「珍しいですね~食堂にいるなんて。
いつも教室で食べているじゃないですか。
…あ、もしかして、久遠先輩に会うために来たんですか!?」
う、鋭い!
「久遠先輩には会いたいけど、直接な理由はそれじゃないんだ」
「じゃあ何でですか?」
「雫がお弁当忘れたから、一緒に来たんだ」
「なるほど~姉ちゃんの付き添いですか!」
納得したかのように頷く慎くん。