生意気毒舌年下男子
「慎くんは?」
「実は俺も弁当忘れまして!」
「そうなんだ!」
「あと、学校案内も兼ねてます」
「学校案内?」
…何だか嫌な予感……。
「今ソイツも昼ご飯買いに行っているんですよ」
「そうなんだ~…」
「もし良かったら、先輩たちの隣に座っても良いですか?
座るところ、あんまりないので!」
返事をする間もなく、斜め前に鞄を置く慎くん。
ちなみにあたしの前は雫が座る。
「俺も昼ご飯買ってきますね!」
「い、行ってらっしゃ~い…」
慎くんは人混みにまぎれ、見えなくなった。
そして慎くんとすれ違うように、人混みからアイツが現れた。
サラサラの柔らかそうな黒髪。
繊細なフレームの眼鏡。
その眼鏡の奥にある、知的な瞳。
クラスメイトが騒ぐようなアイドルよりも整った顔立ち―――…。
早乙女くん、だ。