生意気毒舌年下男子
第3章
行かないでほしい、君
☆幸来side☆
「おはよう、早乙女くん」
「……はよ」
眠そうに欠伸をしている早乙女くんに話しかける。
「眠そうだね、寝てないの?」
「寝たけど?」
「そっか。じゃあ行こうか」
寝たけど、と言いながら欠伸を続ける早乙女くん。
寝不足で倒れないか、心配……。
ん?
何であたし、心配なんてしているの?
可笑しいのは、昨日だけじゃないの?
何であたし、こんなにも気になっているんだろ?
昨日もお母さんに、早乙女くんのこと聞いているし。
本当あたし、どうしたんだろう?
「何朝っぱらからアホ面しているんだ、行くぞ」
不機嫌そうに言われ、あたしはムッとしながら自転車を取りに行く。
前言撤回。
嘘だ、心配もしていないし、気にもしていない。
こんな生意気な毒舌野郎、あたしは気になんてしない。
人として、大丈夫かなって心配しただけ。
うん。
そう、信じておこう。