生意気毒舌年下男子
第3章

行かないでほしい、君








☆幸来side☆





「おはよう、早乙女くん」

「……はよ」




眠そうに欠伸をしている早乙女くんに話しかける。




「眠そうだね、寝てないの?」

「寝たけど?」

「そっか。じゃあ行こうか」





寝たけど、と言いながら欠伸を続ける早乙女くん。

寝不足で倒れないか、心配……。





ん?

何であたし、心配なんてしているの?

可笑しいのは、昨日だけじゃないの?

何であたし、こんなにも気になっているんだろ?

昨日もお母さんに、早乙女くんのこと聞いているし。

本当あたし、どうしたんだろう?





「何朝っぱらからアホ面しているんだ、行くぞ」




不機嫌そうに言われ、あたしはムッとしながら自転車を取りに行く。




前言撤回。

嘘だ、心配もしていないし、気にもしていない。

こんな生意気な毒舌野郎、あたしは気になんてしない。

人として、大丈夫かなって心配しただけ。




うん。

そう、信じておこう。








< 64 / 137 >

この作品をシェア

pagetop