生意気毒舌年下男子
無言で歩き続け、あたしはいつの間にか自分の教室の前にいた。
いつもは騒がしいはずの教室が、静かになっていた。
「ここですよね?先輩の教室」
「そう……」
あたしの手を引いたまま、早乙女くんは教室に入って行く。
一斉にクラスメイトがあたしたちに注目している。
驚いているクラスメイトが殆どだけど、雫だけは笑っていた。
何が起こるのか、ワクワクしているみたいだ。
「先輩!」
「はいい!?」
いきなり叫ばれたので、思わず声が裏返ってしまった。
恥ずかしくなって、俯いた。
「僕、先輩が好きですっ!」
「はぁ!?」
僕、先輩が好きです…?
何てこと言うのアンタは!
驚いて何も言えないで立っていると。
教室に、ふんわりとした甘い香りが漂った。
この香水、知っている。
これを使っているのは、彼だけだから―――…。