生意気毒舌年下男子
変わらない君
☆☆☆
時は過ぎるのが早いと、つくづく思う。
あんな色々あった朝だったのに。
もうお昼ご飯だ。
ガラ……
「幸来ちゃん」
「久遠先輩…」
「お昼、行こうよ」
「はい……」
話していた雫と別れ、あたしは教室を出て、久遠先輩と一緒に食堂へ向かう。
「幸来ちゃんお弁当か。
俺買ってくるから、待ってて」
「はい……」
席を見つけて座り、人混みにまぎれて行く先輩を眺めていると。
近くでお昼を食べる女子の恋バナが聞こえてきた。
話の内容は、自分たちのことじゃない。
あたしと久遠先輩の話だ。
あたしは入学当初から久遠先輩が大好きな後輩として有名で。
久遠先輩も最も仲の良い女子として、あたしを挙げていた。
でもあたしたちが付き合うって言うことは今までなくて。
それなのに、今日からあたしたちは付き合い始めた。
そのため、ようやく“学園1モテる久遠先輩と、学園1久遠先輩が大好きな後輩”が付き合ったという話題は、今生徒の間ではホットな話題だ。
生徒の間だけではなく、先生たちの間でも人気だから、不思議なものだ。
恋愛は禁止していない学校とは言え、まさか先生たちも生徒の恋バナに興味があるとは。
生徒が先生たちの恋バナに興味はあったとしても。
逆もあり得るんだな~と、初めて知った。