生意気毒舌年下男子
「幸来ちん先輩!」
頭の上にお盆が乗せられる感覚がして。
あたしは上を向いた。
あたしを“幸来ちん先輩”と呼ぶのは、1人しかいない。
「慎くん…」
「おめでとうございます!
ようやく付き合ったんですね!」
「うん…ありがとう」
笑顔で言ったつもりだけど。
慎くんは首を傾げた。
「どうしたんですか幸来ちん先輩」
「え?」
「何だか嬉しそうじゃないですね。
折角大好きな先輩から告白されたというのに」
「嬉しいに決まっているじゃない…」
嘘。
嬉しいとは思うけど。
心から嬉しいとは思えない。
なんて言うんだろう、こう言うの。
嬉しいんだけど、どこか…寂しくて。
どこかに穴が開いている気分…。
久遠先輩のことは好きだけど。
その“好き”が、本当に“恋愛”の“好き”だったのかな……?
あれ?そこから?
あたしって本当、自分自身がわかっていないなー。