生意気毒舌年下男子
「…早乙女くんって、何があったんですか……」
一子さんが発した殺気に気が付かないフリをしながら、あたしは尋ねた。
「わたし、詳しく知らないの。
わたしも色々忙しいから……」
何…何なの、この家。
一子さんもお父さんも、早乙女くんも。
皆、秘密を持っている?
「ただ、これだけは言えるわ」
一子さんは真っ直ぐにあたしを見た。
「あの子に深く関わらない方が良いわよ。
あの子は誰かの人生を壊すのが、得意なんだから」
一子さんは踵を返し、丁度良く来たエレベーターに乗り込み、行ってしまった。
『あの子に深く関わらない方が良いわよ。
あの子は誰かの人生を壊すのが、得意なんだから』
学校に着いても、一子さんの言葉が消えることはなかった。