生意気毒舌年下男子








イタズラっ子みたいな笑顔が、懐かしくて。

あたしは泣き始めた。





「どうしたんだよ、幸来ッ!」

「…うぇっ…うわああん……!」




子どものように泣きじゃくり始めたあたしを見た早乙女くんは、慌て始めた。

そしていきなり、腕を強く引かれた。

それさえも懐かしく思えて、また泣いた。





電車が来ないような端っこまであたしを連れてくると。

ギュッと、あたしを抱きしめた。





あたしより背が低いくせに。

抱きしめる力はあたしより強くて。

その優しいぬくもりに、あたしはまた涙を溢れさせた。





「…ったく、何で泣いているんだよ……」




めんどくさそうに舌打ち付きで言うけど。

抱きしめる力は弱めくて。

逆に強くしてくる。





嗚咽を漏らしながら、あたしは泣き続けた。







そしてあたしは。









ある1つの、答えを導き出した。









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