生意気毒舌年下男子
「俺は…」
あたしは急いで、唇を塞いだ。
勿論、自分の人差し指で。
「それ以上言わないで。
別に良いの、彼女がいても。
彼女を大事に思ってくれて、あたしは構わない」
早乙女くんが、目を見開いた。
電車が来るアナウンスが入った。
「早乙女くんが何を抱えているか、あたしは聞かない。
だから、早乙女くんが誰を思うのかもあたしは聞かない。
ただ、知っておいてほしいだけ。
あたしは早乙女くんが好きだってこと」
あたしはホームにやってきた電車めがけて、走り出した。
だけど。
すぐにその手が掴まれた。
そして後ろから、抱きしめられた。
「早乙女くんッ…」
「行くな」
耳元に、強いけど優しい声が聞こえた。
強い息遣いに、ドキドキ…というか、緊張する。