生意気毒舌年下男子
ドSな君
エントランスを出たあたしは、真っ直ぐ駐輪場へ向かった。
そしてピンク色の自転車を取り出し、不思議そうな顔であたしを見ていた早乙女くんの前に置く。
「自転車でいつも行っているのか?」
「うん、まあね」
そこで気が付く。
あたしだけ1人自転車で行ってしまったら、早乙女くん駅まで行けないよね?
どうしようかな……?
「早乙女くん、駅までの道わかる?」
そこまで聞いた時、早乙女くんはあたしを睨んだ。
…あたし、変なこと言いました?
「俺、昨日引っ越してきたから、外出るのさえ初めてなんだけど。
そんな俺に、駅まで行けとお前は言うのか?」
昨日引っ越してきたの?
ふーん、初耳。
「え?じゃあどうしよう……」
「支えてろ」
「は?」
「良いから、支えてろ」
言われたとおり、自転車を両手で支えた。
何の意味があるんだろう?